ラベルのデザインは郡山市の開拓の歴史
DOWELL編集部: どんな商品でしょうか?
佐々木さん: 商品名が「ヴァンデオラージュ(Vin de Ollage)」、直訳しますとヴァンがワインで、オラージュというのはローマ字読みをすると「オラゲ」となります。オラゲというのは福島の方言で「おらんち」の意味。つまり「おらんちのワイン」ということなんです。地元の農家さんをはじめ地元の方に、自分のところのワイン、自分たちのブドウで造ったワインだよというメッセージも込めて、そういうネーミングにしたんです。
もう1つ、ラベルのデザインは郡山市の開拓の歴史をイメージして作ってもらいました。
郡山市というのは、明治時代の開拓の時に猪苗代湖(いなわしろこ)から水を引いてくる、そういう開拓の歴史があります。安積疎水と呼ばれている水路なんですが、この水路が郡山市に引かれたことによって郡山市が発展していったという歴史があります。その安積疎水をモチーフにして、ラベルの真ん中に横一線が描かれています。私たちも当時安積疎水を開拓した人々と同じように、果樹農業の新しい未来を切り拓いていきたい、そんな思いを重ね合わせています。
私たちも初めて行った時に気がついたのですが、郡山市というのは風がとても強い土地で、風通しがいいことは、良いブドウを育てる為には大切な条件なんです。それで風をイメージして丸い風車のエンブレムが真ん中にあるのですが、風車の羽根一つ一つはクワのモチーフです。安積疎水を開拓したクワが、今度は農家の人々の手に渡り、福島の果樹農業の未来を形作っていく。そんな意味を込めてのラベルのデザインになっています。
DOWELL編集部: ふくしま逢瀬ワイナリーのロゴについてもご説明願えますか?
渡辺さん: 上からモモ、ナシ、リンゴ、ブドウを表していて、真ん中の空いている穴が猪苗代湖をイメージしていて、福島県の形をしています。周りがボヤボヤッとしているのは、果物が発酵している様子です。
ワイナリーというだけあって、もちろんこれからもブドウのワインを造っていきますし、農家さんたちに新しくワイン用のブドウを植栽してもらっているので、ワインは重要ですが、モモ、ナシ、リンゴというもともと福島県で生産が盛んな果物の魅力もどんどん伝えていきたい、というのが設立の精神の中にあります。それぞれの果物は、生で食べてもおいしい品質のものを使ってお酒を造っているというのが、逢瀬ワイナリーの製造のすごく大きな特徴の1つになっています。
佐々木さん: 製造現場ですと、ものすごく緻密な温度管理などにこだわっていて、低温でお酒を発酵させるという手間のかかることをやっています。