みんなの「おいしい」が、だれかの「うれしい」に。 消費を投資につなげる「食のよいサイクル」づくり imperfect株式会社 浦野正義さん(後編) 【Cover Story】消費という投資 私たちにできること
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みんなの「おいしい」が、だれかの「うれしい」に。 消費を投資につなげる「食のよいサイクル」づくり imperfect株式会社 浦野正義さん(後編)

引き続きインタビューは、ウェルフードマーケット&カフェ「imperfect表参道」にて。

DOWELL4月号のテーマは「消費という投資 私たちにできること」。DOWELLが創刊からご紹介してきたimperfect株式会社の「Do well by doing good.活動」はまさにテーマにマッチした活動といえるでしょう。消費を投資に変える「食のよいサイクル」の狙いはどこに…?imperfect株式会社の浦野正義社長に前編に引き続きお話を伺います。

「食のよいサイクル」を拡大していきたい

DOWELL編集部: 今までお話しいただいた第1期のプロジェクトは終了を迎えますが、imperfectの「Do well by doing good.活動」はこれからも続いていきます。これまでの取り組みで、想定通りに進んだことや、その反対に見えてきた課題もあるのではないかと思いますが、「食のよいサイクル」を回していくには、どのようなことが不可欠だと思いますか?

浦野社長: 大きく2点あります。まずひとつ目が、より多くの生活者の方や企業に「食のよいサイクル」に賛同してもらうことです。もちろん、今でも生産者の支援につながる活動を手がける企業は少なくありません。ただ、生活者を巻き込むことなく自分たちだけ、つまりビジネスの枠の中での取り組みに留めてしまっていることが多く、なかなか活動の広がりが出てこないのではないかと思います。

生活者の「おいしい」と生産者の「うれしい」を結びつけるウェルフードマーケット&カフェ。

リーフレットをはじめ、かっこいいショップカード、ステッカーなども要チェックです。

来店者参加型のDo well by doing good.活動

DOWELL編集部: 確かに、よいことをしている企業は、もっとそれを生活者にアピールして、何らかの形で生活者を巻き込んでいくという展開は重要かも知れませんね。

浦野社長: 今までの農産物生産を取り巻く環境というのは、消費する側の価格競争に生産者が影響を受け、時には自分たちの生活を犠牲にしながら買い手の要求に応えていくという、状況が存在していました。そのような現状の中、生活者を巻き込んで「食のよいサイクル」をつくろうというimperfectの事業は、規模は小さいけれど大きな一歩になっていると自負しています。ただ残念なことに、現状の私たちの事業規模では、大きな成果につなげることは難しい。もっとたくさんの事業者の皆さんに、このサイクルに入ってきてほしい。それによって、わたしの想いは「絵に描いた餅」ではなく、現実のものになると思います。

消費を投資に変えていく「Do well by doing good.活動」。

DOWELL編集部: 企業が生活者に向けてアピールすることの重要性はよくわかります。では、一般の生活者は「食のよいサイクル」を回すために、どのように関わっていくべきと思われますか?

浦野社長: 生活者に消費行動を意識してもらうことが、「食のよいサイクル」を回していくために必要なことの2点目になります。生活者の方々に関心をもっていただき、「食のよいサイクル」を動かしていく商品を購入し続けてもらうことが一番大切だと思います。そのために必要なことは、「自分たちは単なる消費ではなく未来へ投資をしているのだ」と考えてもらうことではないでしょうか。「食のよいサイクル」を実現するために、投資をしている。そう考えていただけると嬉しいですね。

DOWELL編集部: 「消費」ではなく「投資」というのは、私たち生活者にとって大切な考え方だと思います。

浦野社長: 「投資」といっても、単純にお金でリターンを得られるということではありません。初めにお話しした「食のよいサイクル」の構造を思い出してほしいのですが(前編参照)、自分たちが使ったお金が生産者の自立支援につながり、それがやがて農産物の品質や価格に反映して自分たちに戻って返ってくるということです。ただそれには、その投資がどのような結果につながっているか可視化することと、投資の進捗状況を誠実に報告することが不可欠だと考えています。例えば、imperfectの第1期プロジェクトの「カカオの森」の話を例にとると、シェードツリーを植えた結果、カカオの生産にどのように貢献したのかということを生活者が知ることができる仕組みが必要です。またキャッサバの例でいえば、子どもたちの栄養はどのくらい改善されたのか、農家の収入はちゃんと増えているのかといったことが可視化されることが、投票に参加いただいた皆さんからの納得感を得るために必要でしょう。

その意味で、私たちは、自分たちが進めるプロジェクトについては、しっかり進捗報告をして、プロジェクトの見える化を図っていくつもりです。これも「食のよいサイクル」を循環させるために必要なことです。

DOWELL編集部: 「食のよいサイクル」をより大きくし、しっかりと回していきたいという浦野社長の思いがよくわかりました。

2020年4月1日にお客様による投票結果発表

DOWELL編集部: 今の段階(編集部注:浦野社長にお話をうかがった2020年3月6日)では、最終結果はまだ出ていませんが、先に紹介した環境、教育、平等のうち、どのプロジェクトを実行するか、お客様の投票によって決定されます。私たちの食卓に並ぶ農産物の生産地で実際に起こっている社会課題に対して、生活者個人がダイレクトにアクションを起こすことはなかなか難しいですが、「Do well by doing good.活動」を通じて、私たちの「おいしい」が、だれかの「うれしい」に確実につながっていく…と考えるとわくわくします。

「Do well by doing good.活動」の今後の展開について、お話ください。

浦野社長: 3つのプロジェクトのうち、実行段階に移るひとつを新しいプロジェクトに差し替え、第2期投票がスタートします。新しいプロジェクトはすでに決定していて、そのテーマは「受粉を助けるミツバチの生育環境を整えよう!」です。実はミツバチの活動は農業にとって非常に大切な存在なのですが、このプロジェクトも、単にミツバチの生育をよくするだけではなく、ミツバチを育てることが様々な課題解決につながっていくプロジェクトなのでご期待ください。

DOWELL編集部: 読者のみなさん、今月号の「Action」で、「ミツバチプロジェクト」の具体的なお話を紹介していますので、この記事もぜひ読んでみてください。浦野社長、本日はどうもありがとうございました。

編集後記

imperfect株式会社が取り組む「Do well by doing good.活動」には、生活者と生産者との距離を縮めるための、さまざまなアイデアが溢れています。私たちの消費行動が、無理なく世界中の誰かの「うれしい」につながる投資になります。社会貢献活動と言われると、ちょっと大変かも…というイメージもありますが、私たちにできることは、まだまだたくさんあるのかも知れません。

後日、浦野社長から、最も多くの投票を得られたプロジェクトは、プロジェクトテーマ-1:環境「2万本の苗で森と生き物の生命をまもろう!」に決定したとのご連絡をいただきました。プロジェクトが現地で実行される様子も取材し、みなさんにも近々お届けしたいと思います。ご期待ください!

いいことをして、この世界をよくしていこう。~ DOWELL(ドゥーウェル)~
www.dowellmag.com

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