環境政党の誕生
現在、ドイツは環境保護に対する意識が高い国として知られていますが、実は戦後のドイツは違っていました。1970年代のドイツは高度経済成長の真っ只中で、環境が汚染され、ついには森が破壊されはじめました。自分たちを「森の民」と思っていたドイツ人は、そのことでようやく危機感を覚え、これがきっかけで環境保護活動に興味を示す人が増えていったのです。
そして1980年ごろになると社会活動家が集まって『緑の党』という環境政党が誕生し、環境活動が本格化しました。そのころ、私はドイツの祖父母の家に住みながら地元の高校に通っていて、テレビのニュースに映っていた緑の党の政治家に衝撃を受けたことを今でも鮮明に記憶しています。
それというのも、緑の党の政治家は、男性たちはヒゲをはやし、髪も伸びきったままで手編みのセーターを着て、オーバーオールを履き、まるでヒッピーさながら。私のイメージする政治家からはほど遠いものだったからです。
また、緑の党選出の女性政治家がお祝いの場で、花束のかわりに枯れたモミの枝を渡すシーンも目に焼き付いています。緑の党が誕生してからは、国会では常に環境についての議論がされるようになり、エコの話題を聞かない日はありません。もともとエコロジーを大切にする伝統のあったドイツなので、人々はすぐに自分のこととして考えるようになっていったのです。