FANTASTICS from EXILE TRIBEの佐藤大樹さん、堀夏喜さんが、「Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう!」という活動に取り組む企業や団体を訪問するこちらのコーナー。今回は、堀夏喜さんが“Good Coffee Smileの実現”を企業理念に掲げ、おいしいコーヒーで世界を笑顔にしているUCCグループの東京本部を訪問しました。前編では、同社のサステナブルな活動についてUCC上島珈琲株式会社 農事調査室長の中平尚己さんとUCCホールディングス株式会社サステナビリティ推進室の関根理恵さんのお二人にお話を伺ってきましたが、後編では、DOWELL magazineが提唱している「Do well by doing good. 活動」をテーマに、さらにUCCの活動について深堀りしていきます。
コーヒーを飲んで、「Do well by doing good. 活動」
堀さん: 今までお話を聞いてきて、UCCさんがサステナブルな取り組みを進めている理由がよくわかりました。ここからは、そのようなUCCさんの取り組みと関連して、DOWELL magazineが提唱している「Do well by doing good. 活動」について、お話を伺っていきたいと思います。「Do well by doing good. 活動」というのは、「いいことをして世界と社会をよくしていこう」という活動のことですが、そのひとつとして進められているのが「食のよいサイクル」という、農産物の生産者の自立と消費者の満足を同時に実現する事業です。まず、「Do well by doing good. 活動」の考え方や進めている事業についてどう思うか、ご意見を聞かせてください。
中平さん: とても共感できます。コーヒー産業について言えば、生産者が自立して事業を継続できれば、消費者もおいしいコーヒーをずっと楽しめます。このようなよいサイクルを作ること、これこそが「持続可能な」活動と言えると思いますね。
堀さん: ありがとうございます! では、UCCさんが進めている「Do well by doing good. 活動」な取り組みがあれば、ぜひ教えてください。
中平さん: そうですね。まず、JICA(国際協力機構)と進めている『ベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクト』などが当てはまるかもしれません。
堀さん: それはどのようなプロジェクトなんですか?
中平さん: 一言でいえば、野生のコーヒーに付加価値をつけるという取り組みです。アラビカ種というコーヒー豆の起源であるアフリカのエチオピアでは、現金収入を得るために森の木々が伐採されているため、環境破壊が懸念されています。経済を取るか、環境を取るかという、二者択一を迫られる状況にあったわけですが、そこで注目されたのが、森林の中で自然のままに育っているコーヒーでした。
堀さん: コーヒーって自然に育っているものなんですか?
中平さん: ええ。しかもこれは実に素晴らしいコーヒーで、もっとそのポテンシャルを引き出すことができたら、高付加価値商品として販売できるかもしれない。そうすることで、エチオピアの人々の、経済的な豊かさと自然環境の保護を両立することが可能になるかもしれないと考えたわけです。
そのために現地の方がコーヒーで十分な収入が得られるよう、さらなるコーヒー品質の改善に取り組み、森林伐採を減らすことで、森林保護につなげようというのがこのプロジェクトです。私たちは主に品質向上のために適切な収穫のタイミングや、よい品質のコーヒーの味わいをレクチャーするなど、現地の方が無理なく継続できるやり方で、技術指導に携わってきました。森林の保全にも非常に効果が現れていて、活動する地域を拡大しているところなんですよ。
堀さん: 森の中で、人間の手を借りずにコーヒーが育っているって、アフリカの自然の豊かさを改めて感じますね。しかもそういった場所で、人間が少し手を加えることでもともと自然の中にあるものを活かして新しい価値が生まれ、経済と両立できるようになるというのは素晴らしいですね。
中平さん: また私たちは、そのような環境保護だけではなく、社会的に弱い立場にある女性も支援しています。ニューヨークに本部を置く『IWCA(国際コーヒー女性連盟)』というNPO法人があるのですが、これは、コーヒー生産に携わる女性の生産技術と地位向上、持続可能な社会生活の実現を目的として設立された団体です。生産国のコーヒー農園で働く女性は単なる労働集約的な仕事しか与えられず、男性と比べて激しい労働格差があるのです。『IWCA』はそのような現状を変えていこうとしているのですが、UCCグループは、『IWCA』の活動や理念に賛同して、『IWCA』が支援するコーヒー豆を使った『UCC ホンジュラスWOMEN’S COFFEE 豆AP200g』という業務用商品の販売を始めました。私たちは、持続可能なコーヒー産業を発展させていくためには女性の活躍が不可欠だと思っています。このコーヒーの売り上げの0.5%が『IWCA』に寄付される仕組みになっているんですよ。
堀さん: コーヒー豆を買うことが、女性の支援に繋がるんですね。業務用の商品では、僕たちが直接その豆を買うことはできませんが、その豆を扱っているお店に行ってコーヒーを飲むことでも支援になるのだと思うと、やってみようかなという気になりますね。
中平さん: もうひとつ「Do well by doing good. 活動」にぴったりなプロジェクトがあります。
こちらもJICA案件で、アフリカのルワンダにあるソブ村で進めてきた地域発展のプロジェクトです。貧困地域の特産品を核に地域を発展させようというプロジェクトで、ソブ村では、この地で作られてきたコーヒーを特産品として育てることになりました。貧困地域なので、コーヒーの木に潤沢な肥料を与えられていなかったのですが、これまで育てられてきたコーヒーは決して悪くはなかったので、工夫を進めれば、きっと、もっといいコーヒーが作れると思ったのです。
堀さん: なるほど。確かに、もともとおいしいコーヒーなら、ちゃんと育ててあげれば、さらにいいコーヒーができそうな気がしますね。
中平さん: そうなんです。実はルワンダは、アフリカの中では人口密度が高い国で、自然環境の破壊が進んでしまっています。コーヒーは森の中で適度な日影がないとおいしく育たないのですが、環境破壊によりコーヒーが陽に当たり続けているという現状がありました。まずはそこから改善していこうと、日陰を作るシェードツリーを植えたり、雨が少ない地域なので地表を枝や枯草でおおうことで水不足を解消するなど、あまりお金をかけずにできることから始めました。
2012年から取り組んでいるのですが、今では森のように木が茂り、生産量も倍以上に増加しています。また、味わいの評価も上昇し『フイエ・マウンテン・コーヒー』という名称で、特産品と十分に名乗れるものになりました。JICAとしてのプロジェクトは終了していますが、今でも取り組みは継続していて、『フイエ・マウンテン・コーヒー』はしっかりと売れ続けているんですよ。
堀さん: 先ほどの『IWCA』のお話にも通じるものがありますが、僕たちがコーヒーを飲むことで、改善される問題があるんですね。知らず知らずのうちに飲んでいたコーヒーがそうした役割を果たしていることがわかって、さらにコーヒーを好きになれそうです!
関根さん: ありがとうございます。とても嬉しく、そして心強く感じます。
世界と地球の笑顔のために、挑戦を続けていきたい
堀さん: DOWELL magazineでは月ごとにテーマを決めていて、10月号のテーマは「知ってる?世界の食糧事情。」です。僕も今、勉強しているところですが、「世界の食糧事情」にはさまざまな課題があることがわかってきました。UCCさんは、食品メーカーとして「世界の食糧事情」にはどんな課題があると思いますか?
中平さん: 農作物が事業の根幹となる私たちが懸念していることは、地球温暖化や気候変動、そして異常気象です。過去には、ジャマイカを襲ったハリケーンの影響で、ブルーマウンテンコーヒーを収穫できず、コーヒー豆を製造販売できなくなった時期もありました。
加えて水不足も問題ですね。コーヒーは、その生育にも、コーヒーの実を豆に精製するのにも、水が大量に必要になります。その水が足りなくなることはとても気がかりです。いくら私たちに技術があっても、コーヒー豆が手元に届かないと何もできないのですから……。
堀さん: やはり、コーヒーも農産物として、気候から受ける影響は大きいんですね。これからますます気候変動が進んでしまう可能性もありますが、そうなったらちゃんとコーヒーが楽しめるのか、少し心配になってきました。
中平さん: 現在、世界におけるコーヒーの消費量は増えています。これまでどおり、商品の安定供給を続けて、いつでもどこでも、おいしいコーヒーを召し上がっていただくためには、環境を破壊せず、なおかつ守りながら、収穫量を増やすことが重要です。
今後地球温暖化が進むと、現在はコーヒー栽培に適している地域も、将来は気象条件が合わずにコーヒーが栽培できなくなる可能性もあり、課題は山積みです。私たちは、今の自分たちに不足している点を含めて、新しい視点でチャレンジを重ねていきますので、今後のUCCグループの活動を見守ってほしいですし、期待もしてほしいですね。
堀さん: 力強いお話ですね! これからもおいしいコーヒーを飲み続けられるように、UCCさんには頑張ってほしいです! では、最後の質問です。今お話のあった気候変動以外にも、これからの世界は大きく変わっていくと思います。そんな世界を少しでもよくしていくためには、何が必要だと思いますか?
中平さん: 世界をよくするには、世界に興味を持って知るところからスタートすることでしょうか。そして、どんなに小さなことであっても、よいと思うことは改善に向けて行動に起こし、挑戦し続けることを忘れないことだと思います。サステナブルの世界では、「もう十分考えたでしょう。さあ行動に移そう!」と言われていますから。
関根さん: 特にコーヒーは、単に喉を潤すだけの飲み物ではなく、喜び、楽しさ、時には悲しさ、寂しさにも寄り添える飲み物だと考えています。そんな飲み物だからこそ「世界をよくしていくために、貢献できることがたくさんある」のではないでしょうか。食糧事情への対策と合わせて、今後の私たちの取り組みにご期待ください!
この連載は、CBCテレビの情報ワイド番組「チャント!」で毎週火曜日16時台に放送されている「ワクワク!カンパニー Do well by doing good!」と連動した連載企画です。こちらの番組は、下記URLからアーカイブをご覧いただけます。
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いいことをして、この世界をよくしていこう。~ DOWELL(ドゥーウェル)~
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