堀さん: 本当に“町ぐるみ”ですね。具体的にはどのような活動をされているのですか?
築野さん: かつらぎ町は“健康寿命日本一宣言”を唱えています。私たちは、TIWセンターを通じて、米ぬかが身近で体にいい製品であることをさまざまな研究データとともに発信することで、地域の人々の健康意識を高め、健康長寿の達成を目指しています。
あとやはり大きいのは雇用ですね。新規事業で地元の雇用を創出するのはもちろん、町の人口減少に歯止めをかける転入人口の増加にも寄与しています。実際この20年で、米への愛情や米ぬかを活用する事業への興味から、北海道から九州まで、和歌山に無縁な人たちが入社を希望されるケースが増えているんです。
堀さん: 皆さん、とても楽しそうにお仕事されていますよね。特に働き方などで意識されていることはありますか?
築野さん: 自主性を大切にしていることでしょうか。何かやりたいと社員に相談されたときは、絶対否定してこなかったと思います。それは年齢や社歴を問わず、です。これまでも「ロシアの展示会に出てみたい」「行っておいで!」、「グルテンフリーに挑戦したい」「やってみて!」という感じです。頭ごなしに否定はしません。
堀さん: 素晴らしい! それは皆さん、やる気になりますよね。製品も、そこで働く人にとっても、サステナブルな会社だと思います。では最後の質問です。『DOWELL magazine』が提唱している「Do well by doing good. 活動」は、「いいことをして世界と社会をよくしていこう」という活動のことです。築野社長が個人として実践されている「Do well by doing good. 活動」があれば、教えてください。
築野さん: 会社の活動と重なる部分はあるんですが、やはり生まれ育ったこの町に役立つ活動ですね。資材部の築野敦子(つの・あつこ)と経営企画部の築野靖子(つの・やすこ)は私の娘たちなんですが、実は私、彼女たちを産みっぱなしで、あまり育児に手をかけることができなかったんですよ。でも、地域の人たちに娘を育ててもらうことで、私は働くことに専念できました。
女性というのは、出産や子育てなどでハンディがあるように見えるけれど、自分ができることを一生懸命やっていたら、周りの人々が手伝ったり、助けてくれたりするんです。それが地域社会というものだと思います。