コーヒー農家が抱える問題
世界第3位のシェアを誇るコーヒーの大生産国コロンビア。コーヒーの生産に適した環境として、年間降雨量が1500~2500mmであること、標高が900~2000mの山地であることなどが挙げられますが、コロンビアはそのような条件を満たした国のひとつです。それにもかかわらず、この地の小規模なコーヒー生産農園の多くが貧困を抜け出せずにいると言われているのです。
なぜなら小規模な農園では、その年の豆の収穫量や販売価格の変動が、家庭の収入の変動に直結してしまう傾向にあり、毎年続けて安定した収入を得ることが難しいからです。
収穫量が安定しない主な原因は気候変動です。ラニーニャ現象をはじめとした地球規模の気候変動の影響を受け、年により日照量や降雨量が変化し、安定したコーヒー豆の生産が困難になっています。
またコーヒーが栽培されている土地は、アンデス山脈の山奥にある急斜面が多く、農業の機械化が難しいため、収穫は主に手摘みで行われています。小規模な農園では家族で収穫を行うなど少人数で栽培・収穫を行うため、どうしても収穫量に限界があり、農園の拡大も容易ではありません。
このように、手間ひまをかけても満足のいく収入が得られない場合もあり、そのため、コカインなどの違法薬物の原料となる植物栽培に手を染める農家も存在しているようです。
そこで2008年に始まったのが、コロンビアの小規模農家を支援するための “Forest Ranger Families Program”です。
このプログラムを開始した2008年には、参加していた農家の約3割が、違法薬物の原料の栽培を行っていましたが、12年間の活動を経て、効率的なコーヒーの生産方法を学び収入を十分に得ることができるようになったことで、現在はその割合は1%未満にまで減少しています。その結果を踏まえ、同プログラムは次のステージに移行し、現在は農業教育や水洗・乾燥設備の設置等を通じて、安定したコーヒー生産とそれに伴う農家の安定した収入に焦点を当てたプログラムを実施しています。