日本を代表するグローバルスポーツメーカーである株式会社アシックスが、ウィメンズファッション事業に参入。2021年3月5日にライフスタイルブランド『UNOHA(ウノハ)』を立ち上げました。スポーツから離れた日常においても環境負荷の低い商品で消費者に寄り添い、ココロとカラダのバランスを大切に考えながら生活を応援していくのが狙いです。そんなUNOHAとはどのようなブランドなのでしょうか。ブランドの誕生にいたるまでとこれからのビジョンを、株式会社アシックスWOMEN’S CREATIVE STUDIOマネジャーの三浦亜友(みうら・あゆ)さんに伺いました。
アシックスの創業哲学を受け継ぐライフスタイルブランド
DOWELL編集部: このたびスポーツ用品メーカーである貴社が、25歳~35歳の女性をターゲットにしたライフスタイルブランド『UNOHA』をローンチされました。まずそのコンセプトを教えていただけますか?
三浦さん: 弊社には「健全な身体に健全な精神があれかし」という創業哲学があります。これを表わすブランド・スローガン「Sound Mind, Sound Body(サウンドマインド サウンドボディ)」を、スポーツの場だけではなく、人々のさまざまなライフスタイルに取り入れて、気軽に身体を動かすお手伝いができたらという想いのもと誕生したのがUNOHAです。
2021年3月5日から、アクティブな機能性ウエアからラウンジウエア、シューズやバッグなどを、ECストアと、期間限定ポップアップストアで販売を始めました。
UNOHAという名前の由来は、「卯の花」です。実はこの植物は、枝を空洞にすることで上手にエネルギーをコントロールして、厳しい冬に耐えて春(卯の月)に綺麗な花を咲かせるのです。こうしたストーリーが、私たちの新しいブランドにかける想いとリンクしていると考えて採用しました。
DOWELL編集部: 卯の花というのは「ウツギ(空木)」の花のことですよね。エネルギーの効率化が注目される時代にぴったりだと思います。小さめの白くて愛らしい花を咲かせますが、そのあたりもプロダクトのイメージに近いのでしょうか。
三浦さん: そうですね。ナチュラルでソフトなイメージは重なっていると思います。また、デザインについては、「One Tea Spoon」というテーマのもと、シンプルでありながらひとさじの遊び心を加えています。卯の花がセルフコントロールをするように、皆さんがココロとカラダのバランスを整えるお手伝いをしていきたいというのが私たちの願いです。「Here for every moment」をブランドメッセージとしていて、アクティブなシーンからリラックスタイムまでさまざまな瞬間に寄り添うことで、何気ない日常を少しでも特別なものにしてほしいという思いを込めています。
多様性を重視した女性中心のプロジェクトで誕生
DOWELL編集部: UNOHAは女性メンバーを中心としたプロジェクトから提案され、事業化されたとうかがっています。
三浦さん: その通りです。当社では2012年より「ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)」を推進していて、女性の活躍推進に関する取り組みについても強化してきました。その一環である女性中心のプロジェクトから、UNOHAは生まれたのです。
DOWELL編集部: D&Iとは、多様性を受容し、どのような人でも活躍できる機会のある組織ということですね。ちなみにUNOHAの原点となったプロジェクトはいつごろ発足したのでしょうか。
三浦さん: プロジェクトが発足したのは、2019年夏です。メンバーは10名余りで、商品開発、EC、経理など社内のさまざまなセクションから選抜されました。異なるバックグラウンドを持つ社員から構成されています。
このプロジェクトでは、自分がこれまで培ってきた視点や背負っている責任に基づいた意見を求められるのと同時に、いままであまり関わりのなかった部署のメンバーの意見をたくさん聞くことができました。そのことによって考え方や視野が広がるのを、メンバーみんなが実感できていたと思います。
DOWELL編集部: 三浦さんご自身は、当時どのようなセクションで働いていたのですか?
三浦さん: 大学の工学部を卒業してすぐに配属された「スポーツ工学研究所」です。
DOWELL編集部: 完全な“リケジョ”ですね(笑) 多彩な経歴の方が集まって、実に多様性のある組織だと思います。ちなみに三浦さんの現在の肩書は、「WOMEN’S CREATIVE STUDIOマネジャー」ですが、WOMEN’S CREATIVE STUDIOとはどのような組織なのでしょうか。
三浦さん: プロジェクトからの提案が事業化されることが決まった2020年1月に発足したセクションです。私はそれまではスポーツ工学研究所と兼務でしたが、正式に辞令が出て、こちらの部署に配属されました。
正直なところ、このスピード感でこの部署が誕生したのにはびっくりしました。プロジェクトチームで取り組んできたことを、ちゃんと会社が評価してくれたことはとても嬉しかったです。より会社のことが好きになりましたね(笑)。
もちろん私だけではなく、メンバー全員「やったー!」「やるぞー!」とモチベーションがあがり、昨年1月のスタートからの勢いのまま、現在も走り続けているという印象です。
DOWELL編集部: それはすばらしいですね。UNOHAは、これまで貴社にはなかった新規事業となりますが、はじめから、スポーツ絡みではないものを開発するという前提だったのですか?
三浦さん: いえ、そのように限定することはなく、プロジェクトでの市場調査や話し合いを積み重ねていくうちに膨らんでいった構想です。日々の生活の中で健康のために体を動かしたいというニーズが高まっていることがわかり、それを具現化する手段としてたどり着いたのがUNOHAだったのです。
株式会社アシックスの先進的な取り組みの中から誕生した新ブランド『UNOHA』。後編では具体的なプロダクトについて、そしてこれからのビジョンをうかがっていきます。
三浦亜友
株式会社アシックスWOMEN’S CREATIVE STUDIO マネジャー
大阪府出身。大学では機械工学を専攻し、卒業後、株式会社アシックスに入社。
入社後10年間スポーツ工学研究所で研究員として勤務。研究所では、フットウエアの機能を研究するチームに所属し、主に野球や陸上などのスパイクを担当。
2019年7月、本プロジェクトが発足し、2020年1月WOMEN’S CREATIVE STUDIOのマネジャーに就任。そして2021年3月5日、アシックスよりライフスタイルブランド「UNOHA」がローンチ。
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