前編では、「imperfect表参道」が展開する「Do well by doing good.活動」の投票についてご紹介してきました。ところで「Do well by doing good.活動」とは「いいことをして世界と社会をよくしていこう。」ということ。「imperfect表参道」で提供されている商品には、前編で紹介したプロジェクトが実行される国や地域で作られた農作物が原料として使われています。では「Do well by doing good.」の思いは、商品の中に、どのような形で現れているのでしょうか。「imperfect表参道」でレシピ開発をサポートしているフードディレクターの浅本充さんにお話をうかがっていきます。
投票するという行動までが商品
「imperfect表参道」で実施しているプロジェクトへの投票活動。浅本さんは、実際の飲みものや食べものを手にとってもらうだけではなく、投票するという行動までが商品だと言います。
「投票BOXに票がたまっていくのが『Do well by doing good.活動』の醍醐味ですから、それをゴールとした商品構成にしています。はじめは商品を手に取ってもらうまでが商品開発チームのひとつの目標だったのですが、今は、買っていただいて投票する行動までが商品だと思っています」
以前は “農家により寄った原材料を使用した商品をどうしたらおいしく召し上がっていただけるか” を考え商品を作っていたそうですが、徐々においしく召し上がっていただくことに加え “票を入れてもらうためにお客さんが欲するものを作る” という思考も入れた商品開発に進化。
「生産者支援などいろいろな思いを詰め込んだ商品であっても、買ってもらえなければ投票へ参加いただける方の数も少なくなります。商品の中に『imperfect表参道』らしい、意味あるものを入れて作っていくことをベースに、お客様が喜ぶものや、時代のニーズなどを入れて、魅力を感じてもらう。そして商品を手に取ってくださる方を広げることで、投票に参加いただける方を増やしたい。このように、より多くのお客様に手に取りやすい商品構成に進化していったというのが、この1年くらいの変化でしょうか。その結果、『imperfect表参道』の商品をお買い求めになる方が徐々に増えてきています。原材料へのこだわりというハードルの高さはそのままに、幅を広くして飛びやすくしたイメージです。そうすることで、多くの人に投票に参加いただけるようになったと思います」
生活者の行動も変化
「imperfect表参道」のスタートから2年。お客様の変化も感じているという浅本さん。
「お客様の商品の楽しみ方や選び方が、この1~2年で変わってきたように感じます。お店の認知度が上がったというのもあるし、ブランドとしての見せ方もお客様と作り上げる中でより素敵になっていると感じています。特にシェアして食べていただける商品の人気が上がってきたのが大きいです。自分が食べたいというだけでなく、誰かにあげたい、誰かと一緒に食べたいという消費の幅が広がってきたように感じます」
皆で味わえるということは、「Do well by doing good.活動」について家庭や職場で話す機会も増えるということ。たくさんの人にシェアしてもらって認知を高めることが、とても大事だと強調します。
「お店なので商品を買ってもらうことが目的ではあるのですが、この商品の元になる素材を作っている人たちの顔や環境を知ってもらうことを前面に立てていかないといけないと思っています。知ってもらうためには、広がっていかないといけない。では広げてもらうためにどうしていくのか。そのオペレーションが完成してきたように思います」
商品による「Do well by doing good.」の具現化を通じて「imperfect表参道」の取り組みを目に見えるものにしたいと思っていたという浅本さん。
「お客様がお店に来て、何かをしたという動作が欲しい。その動作というのが投票箱につながっていったと理解しています。たとえば募金だと、募金したその先が見えないことって多々あるじゃないですか。そこが目に見えるプロジェクトという形になった。買うことによって投票ができて、応援先が見えるということまでが『imperfect表参道』の商品なのです」
さらに、日本の四季を感じることも大切だと話します。
「日本には四季があります。四季を知って、旬のものを食べることは、環境にも健康にもいいことだし『Do well by doing good.』の精神にも通じることだと思います。いまの日本では、一年中同じ食材が流通しているために、食べ物から四季を感じることは少ない。『imperfect表参道』では、季節の食材やフレーバーを取り入れた商品も販売していますが、それはとてもいいことだと思います」
「imperfect表参道」らしい商品開発のために
商品を考えるにあたって、どのような苦労がありますか? という問いかけに、浅本さんはこう答えました。
「おいしい商品を作るとか、技術的な難しさよりも、『imperfect表参道』らしくするということのほうに苦労があるかもしれませんね。また、女性のお客様が多いので、見た目も可愛くなるように作っています。でもポップやキュートにというよりも、インテリジェンスやエレガンスを込めたものになるように注意しています。この商品のベースにある思想の部分も表現したいので」
「Do well by doing good.活動」を支援する商品というと、環境や社会課題に関心のある人向けと思われることはないのでしょうか。「imperfect表参道」の商品にもっと興味を持ってもらい、「Do well by doing good.活動」をさらに広げていくためにはどうしたらいいと浅本さんは考えているのか、尋ねてみました。
「今年の『imperfect表参道』のバレンタイン企画で、アミューズの若手俳優ユニットとのコラボレーションがありましたが、そういったことも僕はとても賛成です。『Do well by doing good.活動』やサステナブルな生活を意識した消費は、一定の関心を持っている人に向けたものが多いのですが、僕は商品を作る上ではそんなの関係ないと思っていて。意味もわからず買ってくれた人たちの行動が、実は“よいこと”につながっている。そして、いつかそのことに気づいてもらうというほうがずっと面白い」
最後に、今後のご予定をうかがうと、
「imperfectの皆さんと一緒に、春、夏に向けた新しい商品の開発も進めています。次の段階として、『imperfect表参道』の店頭に並ぶ日も近いと思いますので、お楽しみに!」
浅本 充 (あさもと まこと) / Makoto Asamoto
レストランでのサーヴィスやソムリエ、マネージャー業務を経験後、ニューヨーク/BROOKLYNに渡米。2009年株式会社ユニテを設立。同年にIDEEのフラッグシップストア内に「自由が丘ベイクショップ」をディレクション。ライフスタイルの提案と、新しいフードトレンドや、世界のオーガニック/サスティナブルの知識も深い。現在は、様々な企業のコンサルティングやディレクションに参加。近年では、MARNIやAgnes b.、GAPのカフェを監修している。
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いいことをして、この世界をよくしていこう。~ DOWELL(ドゥーウェル)~
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